2017.12.12
不動産売却と相続税の基礎
不動産売却で相談が多い不動産売却と相続税の基礎についてお伝えします。
1.相続税とは?
相続税は亡くなった人(被相続人といいます)から財産の移転を受けた場合にかかる税金です。
相続税は、相続や遺贈によって財産を取得した個人に対してかかります。(被相続人が遺言書を書くことにより、遺言で相続人へ相続財産を与える行為のことを遺贈といいます)
しかし、その財産の課税価格の総額が遺産に係る基礎控除額以下であれば、相続税は課税されません。
1-1.基礎控除額(平成27年1月1日以降の相続)
相続税の基礎控除額については、下記のようになります。
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例:法定相続人が3人なら、
3,000万円+600万円×3=4,800万円
補足:法定相続人とは、民法で定められている遺産を受け取れる可能性がある相続人のことで、それぞれ遺産を受けとれる順位が決められています。
1-2.相続税と不動産売却の税金でよくある間違いは?
相続で不動産売却の相談がある時に、勘違いされる方が多いのは、相続税と不動産を売却した時の税金を一緒のものと考えている場合が多いです。
不動産(土地や建物)を売却し、利益(譲渡益)が出た場合、その利益に対して、所得税と住民税がかかります。
この課税対象となる利益のことを税法上「譲渡所得(金額)」と呼びますので、覚えておいてください。
また、相続税の課税対象になる財産(遺産)か、遺産分割の対象となる財産(遺産)か。この違いがわかりにくくしている原因でもあります。
相続税の課税対象になる財産(遺産)かどうかは、税法上の問題、つまり相続税を払うのか、払わなくて良いのかの問題です。
遺産分割の対象となる財産(遺産)かどうかは、民法上の問題、つまり遺産分割協議の時に遺産分割の対象となるかどうかの問題です。
2.相続税がかかる財産(遺産)は?
相続税は原則として、被相続人の全財産(金銭換算できる各種権利を含む)にかかりますが、例外として、課税対象とならない財産もあります。
相続税の課税対象になる財産(遺産)は、大きく3つに分かれます。
2-1.本来の相続財産
相続税は原則として、現金、預貯金、株式・国債・公社債などの有価証券、土地、建物、ゴルフ会員権、貴金属、書画骨とう品など被相続人財産で金銭換算できるものは全て課税対象となります。
2-2.みなし相続財産
生命保険金、死亡退職金等は、民法上は遺産分割協議の対象にはなりませんでしたが、相続を契機として税金を負担する能力が増加したかどうかという観点からみると増加したといえるので、税法上では相続財産とみなされます。
ただし、みなし相続財産は相続税を課せられますが、一定額までは非課税財産として控除できます。(下記、非課税財産参照)
2-3.その他の相続財産
・生前贈与(3年以内)財産
相続開始前3年以内の贈与財産は、相続財産に加算されます。この場合の財産の評価は相続開始時の評価額ではなく、贈与を受けた時点での評価額となります。
なお、贈与時に納付した贈与税がある場合には、贈与税と相続税の二重課税を防ぐために贈与税額が相続税額から差し引かれます。
・非課税財産
相続税は原則として、前述のように相続又は遺贈により取得した財産の全てが課税の対象とされますが、財産の性質、社会政策的な見地、国民感情等から相続税の課税対象にならない財産があります。
例:墓地、霊廟、仏壇、仏具、公益事業用財産、心身障害者制度に基づく給付金の受給権など。
よくあるのは、相続人が受け取った生命保険金等や死亡退職金等のうち、
法定相続人の数×500万円
例:法定相続人が4人なら2,000万円まで非課税となります。
・債務控除
死亡時にあった借金、未払い金、税金未納分、死亡後に支出される葬祭費用等は、債務控除として、差引くことが可能です。
3.法定相続分とは?
民法によって各相続人が取得する財産の割合を定めているものです。
しかし、これは法律で定められた権利の割合ですから、実際上は遺産分割協議(相続人の協議)によって各相続人の取得する財産の配分を決めます。法定相続分は上の表をご参照ください。
ポイント
1.子供が数人いる場合は、子供間は均等となります。
例:配偶者と子供が3人
配偶者:1/2
各子供:1/2 × 1/3 = 1/6
2.法定相続人とは、相続放棄があっても、その放棄がなかったものとした場合の相続人のことをいいます。
3.遺留分(相続人に法律上確保された最低限度の財産のこと)とは、分けて考える。
4.まとめ
不動産売却と相続税をまとめると、
・相続税と不動産を売却した利益にかかる税金は全く違う税金
・税法上の問題つまり、相続税の課税対象になる財産(遺産)か、民法上の遺産分割の対象となる財産(遺産)かを分けて考える
・相続税の課税対象となる財産(遺産)とならない財産(遺産)がある
・法定相続分は遺留分と分けて考える
・特定の相続した空き家不動産には税控除が使える場合がある(税金のブログをご参照ください)
まずは、相続の基礎や相続財産を把握して、実際に終活や相続対策、相続手続きを進める時には、信頼できる不動産会社や税理士、弁護士、司法書士などのプロと一緒に進めていくことをお勧めします。
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