2017.11.22
ローン返済不能で肩代わり?ミサワホームの新築住宅取得サービス
ミサワホームは住宅購入者が住宅ローンが返済不能になった時に肩代わりする、「かeせるオプション」というサービスを始めましたので解説していきます。
目次(下記項目をクリックすると移動します)
※1 すでに債務不履行状態(ローンの延滞など)の場合、オプションの行使はできません。
※2 ローン返済完了後、対象住宅はJTIまたは、JTI指定の団体に給付されるため、権利の回復は出来ません。
※3 家と土地の権利回復には、この不足分などの清算が必要になり、万が一、JTIが解散した際には、権利は制度利用者に復帰し、清算金も発生しません。
1.かeせるオプションとは?
かeせるオプションとは、移住・住みかえ支援機構(以下JTI)のサービスを提携したミサワホームが導入したサービスで、住宅ローンの借入者が途中でローンの返済が出来なくなった場合に、土地と建物を引き渡せば、ローン返済が免除になります。
購入者が返済できなくなった住宅ローンは移住・住みかえ支援機構(JTI)が肩代わりし、残債を引き受ける代わりに引き継いだ住宅の賃料収入を住宅ローン返済に充てる仕組みになっています。
見方によっては、アメリカのノンリコースローンに近いサービスと言えるでしょう。
1-1.かeせるオプション利用条件とは?
かeせるオプションの利用には住宅を建築、または購入する際、住宅金融支援機構の35年固定金利(フラット35)の住宅ローン審査の承認が必要で、ローン申請はミサワホームの子会社であるミサワフィナンシャルサービスを通じて行うことが条件となっています。
また、制度の利用にはミサワホームと提携するJTIに長期優良住宅、またはこれに準じる長寿命住宅としての認定と、証明書発行が条件で、発行手数料5万円が必要になります。
1-2.ノンリコースローンとは?
ノンリコースローンとは、アメリカでは住宅ローンが返済出来なくなったら、手放せばそれ以上は支払う必要がないノンリコースローン(非遡及型融資)というローンが主流です。
つまり、「住まい」に貸すローンといえます。
しかし、日本では住宅ローンが払えなくなったら、抵当権がついているので、住宅ローン残債を返済しないと手放すことは出来ません。
つまり、日本では「人の信用」に貸すローンということで、未だにその名残が残っています。
1-3.アメリカと日本の住宅ローンの仕組みの違い
アメリカでは、住宅ローンは先述のノンリコースローンであり、住宅を担保にするのは同じです。
ただし、返済ができなくなると金融機関が差し押さえて競売で売却し、回収できなかった残債は銀行の「損金」で処理されます。
日本では、債務者がローンを支払えなくなった場合、差し押さえが入って競売になりますが、担保住宅を売却しても残債がある場合は、その支払い義務が残ります。
2.アメリカのノンリコースローンが普及した背景
アメリカのノンリコースローンが普及した背景は、1930年頃までは住宅ローンは5年ローンしかなく、1929年に世界恐慌があり、1932年に就任したF・ルーズベルト大統領の時に、長期の「20年住宅ローン」が始まりました。
結果として、人々の住宅所有が容易になり、ローン滞納があった場合の競売後、担保不足額請求を制限し、ローン証券化が進み、アメリカ不動産市場に世界中から資金が集まり、ノンリコースローンの考え方が普及しました。
2-1.住宅購入費用の住宅ローン割合
日本の場合は、住宅購入費用の100%が住宅ローンで出る場合が多いですが、アメリカの場合は住宅購入費用の100%融資の例外もありますが、約20%を頭金で80%を20年ローンとして融資するケースが多いです。
2-2.アメリカの住宅ローン審査の仕組み
アメリカでは、物件の売買価格が住宅マーケットから見て妥当かどうか、数年後に住宅ローンの滞納があり、競売で債務を回収できるかどうかを、金融機関自身が予測します。
その予測の正確性を担保するため、州の免許を受けたアプレイザル(査定業者)に査定を依頼します。
日本の不動産鑑定士同様、市場価格(日本でいう取引事例比較法)、更地から同じ広さの住宅建築にはいくらかかるか(原価法)、家賃から推定した価格(収益還元法)によって、市場価格を重要視しながら査定を実施します。
3.かeせるオプションは普及するのか?
かeせるオプションを始めたミサワホームは2017年度末までに7680戸の住宅受注を目指していたが、施工費の上昇などで戸建ての受注単価は年々高騰し、住宅大手の新規販売戸数は鈍化、市況の悪化で190戸減の7490戸に下方修正しているので、受注戸数の巻き返したい狙いがあると思います。
かeせるオプションのメリット
かeせるオプションのメリットは、転勤、高齢者の老人ホーム入居、長期入院などで住み替えが必要になっても、残った住宅ローンを気にしなくても済むので、幅広い選択肢を住宅購入者に提示し、需要を掘り起こしを目指しているようです。
また、今まで日本では国策で経済効果の高い新築住宅を推奨し、金融機関やメディアも建築後20年で建物の資産価値がゼロになることを前提として来ました。
その結果、返済期間が35年の住宅ローンを利用した購入者がメンテナンス状態にもよりますが、20年住んだ後に住宅を手放す場合、土地売却金額程度になるケースも少なくありませんでした。
かeセルオプションを使えばそうしたリスクを背負わなくても済み、積極的な戸建ての取得が可能になるのだが、心配もあります。
建物のメンテナンスや管理が悪かった場合は、リフォームなどの費用がかさんだり、建物老朽化や人口減少で賃料が予定より下回った場合は破綻しないのでしょうか?ちょっと心配です。
4.まとめ
かeせるオプションは、取り組みとして非常に面白いので今後も追いかけていきますが、気になるのは人口減少、高齢者増加、労働人口減少、建築コスト上昇が続く日本では、新築住宅の建築は今後伸びることはないでしょう。
よって、中古住宅でも利用できる仕組みにしたら非常に面白い取り組みだなと思います。
また、このかeせるオプションの運営主体であるJTIは、国交省のバックアップもあり、大学教授が代表理事、有名住宅メーカーなども会員となって応援している社団法人です。
今後も新しい取り組みにチャレンジしてほしいものです。
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