2017.08.27
お宝or迷惑?埋蔵文化財の試掘、本堀とその費用負担
未来テラスがある福岡県大野城市や春日市、福岡市周辺の土地で造成などの土木、住宅やアパートなどの建築工事等の行為を行う際には、埋蔵文化財の試掘調査が必要になる場合が日常的にあります。つまり土を掘ったら、なんか出てくる可能性が高いんです。それはつまり、お宝が眠ってるんです(笑)!
福岡県は弥生時代の遺跡などが多く出土されており、日本全体で過去の足跡を探る重要な手がかりになっています。また実際に、住宅やアパート、ビルなどの建築の際に埋蔵文化財の試掘、本堀が必要になった場合、工事が遅れたりする場合もありますので、どうなるかを解説したいと思います。そこで今回は、埋蔵文化財についてお伝えします。
目次
1.埋蔵文化財とは?
土地に埋蔵されている文化財(主に遺跡と名付けられている場所)のことです。
過去の調査で管轄の教育委員会等がある程度、埋蔵文化財の範囲を把握している土地を周知の埋蔵文化財包蔵地といい、全国で約46万ヶ所あり、毎年約9,000件程度の発掘調査が行われています。埋蔵文化財の大元の管轄は文化庁で、都道府県・政令指定都市等の教育委員会が地域の埋蔵文化財対応をしています。
教育委員会が担当って、私が初めて聞いたときは違和感がありましたが、学校のことだけでなく、こんなことまでしてるんですね。
2.文化財保護法とは?
文化財を保存、活用し、国民の文化的向上に資するための法律です。
文化財保護法では、周知の埋蔵文化財包蔵地で土木工事やマンション建設などの開発事業を行う場合、文化財保護法93・94条の都道府県・政令指定都市等の教育委員会に事前の届出等を求め、文化財保護法96・97条で新たに遺跡を発見した場合に届出等を求めています。また、文化財保護法100条で出土した遺物(出土品)は所有者が明らかな場合を除き、発見者が所管の警察署長へ提出することになっています。
厳密にいうと、遺跡などが出て来たら、勝手に処分できないので注意が必要です。(あまりないと思いますが・・・(笑))
3.試掘、本堀が必要になったら?
造成工事などの土木工事等における開発事業の届出等があった場合、都道府県・政令指定都市等の教育委員会は協議し、取り扱い方法を決めます。
そして協議の結果、遺跡を現状のまま保存できない場合は、事前に発掘調査を行って記録保存といわれる遺跡の記録を残し、その経費については事業者負担になるケースが多いです。ただし、個人が営利目的ではない自宅建設等の場合、公費で実施される制度があります。ただし、市区町村が財政難だと経費負担を求められる場合もあるそうです。(詳細は、不動産がある市区町村の管轄である教育委員会にお問い合わせください)
そして埋蔵文化財が発掘されても、土地所有者にその所有権はなく、公共の財産として扱われます。勝手に処分したら怒られます。
4.まとめ
以前、私が勤務していたマンションデベロッパーや商業施設デベロッパーでは、大きな土地に大きな建物を建築していました。その場合は、補強のために杭を打ったり、地下ピットといわれる配管などのメンテナンス用空間を設ける場合があり、深くまで掘削する必要があるので、遺跡を破壊する可能性が高くなります。よって、試掘調査の実施段階で埋蔵文化財が発見されるか、どのくらい掘ったら埋蔵文化財が出てくるか分かるので、建築物によっては深くまで掘削する必要があり、埋蔵文化財を破壊する可能性があれば、先述の保存行為である本掘調査が実施されることになります。
こうなると、費用負担プラス建築スケジュールが大幅にずれ込むことになるので、不動産売買の現場では、土地所有者(売主)が事前に試掘調査を実施するか、本堀になった場合は、不動産売買契約自体に白紙解約条項を入れたいというデベロッパーや住宅メーカーは多いのです。
しかし、そうすると売主のリスクは大きくなるので、買主と協議が必要です。この本堀をやっている時に、銀行の貸し剥がしなどがあると、デベロッパーは急激に資金繰りが悪化するので、倒産危機になることがあります。ですので、あまり買主はそのリスクは負いたくないんですね。
例外は一般の個人住宅であれば、木造2階建てが多く、杭を打つこともないので、遺跡の上に数10㎝程度の盛土で本掘調査は必要ないと市区町村が認めてくれる場合もあります。
まとめると、個人住宅の場合、試掘調査費用は市区町村負担のケースが多く、本掘調査も盛土で回避できる場合もあります。
大型の開発などで、企業が買主となり、埋蔵文化財の試掘調査が必要になった場合、本堀が必要になった場合は、企業の負担になる場合が多いです。
ただ、市区町村によって対応が異なるので、事前に教育委員会への問い合わせをオススメします。
次のようなことでお悩みの方は、福岡県大野城市、春日市、福岡市周辺のお客様はもちろん、その他の地域の方も、不動産の無料査定、無料相談会実施中です。
未来テラスは、ご提案に自信がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
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